前回の記事では、チームの問題を「患者」に例えると、対症療法で終わらせずに原因を見る視点が持ちやすい、という話を書きました。

今回はその続きとして、マネージャーが何を学ぶべきかを、医療モデルに当てはめて整理してみます。
マネジメントは「学ぶことが多すぎて、何から手をつければいいか分からない」となりやすいです。
だからこそ、まずは全体像を一度、整理しておくと迷いにくくなります。
マネジメントを「医療モデル」で考える
マネージャーの仕事は、医療に例えると、チームという患者を診察し、問題を診断し、治療し、経過を観察し、健康な状態を維持することです。
医療とマネジメントを対応させると次のようになります。

医療モデル → マネジメント機能
• 患者観察 → 状態把握
• 症状 → サイン(兆候)
• 診断 → 問題診断
• 治療方針 → 意思決定
• 治療 → 問題解決
• 薬 → 実行手段(ツール)
• フォロー → 実行管理
• 予防 → 人材育成/チーム形成
この流れで考えると、マネージャーが学ぶべき知識が整理できます。
患者観察 → 状態把握
最初に必要なのは、チームの状態把握です。
観察するものは、例えば次のようなものです。
・モチベーション
・生産性
・仕事の進み方
・人間関係
・雰囲気
・情報の流れ
マネージャーには、チームの健康状態を把握する力が必要になります。
学ぶことの例:
・組織理解
・コミュニケーション
・観察力
・1on1
・現場理解
症状 → サイン(兆候)
発熱や痛みのように、症状は「何かが起きている」というサインになります。
組織でも同じで、
・不満が出る
・ミスが増える
・進捗が遅れる
・雰囲気が悪い
・情報共有が止まる
といったサインが出ます。
マネージャーに必要なのは、
このサインを「個別の出来事」で終わらせず、早めに拾って共有できる状態を作ることです。
サインが見えるようになると、次の「診断(問題診断)」にも進みやすくなります。
学ぶことの例:
・情報共有の仕組み
・ミーティング設計
・コミュニケーション
・進捗管理
診断 → 問題診断
次に必要なのが、問題診断です。
症状が同じに見えても、原因は一つとは限りません。
例えば「文句が多い」というサインが出ていたとしても、原因は
・情報不足
・不公平感
・仕事量の偏り
・役割不明確
など様々です。
重要なのは、
「目に見える症状は、原因の“結果”として出ていることが多い」
ということです。
学ぶことの例:
・問題分析
・仮説思考
・構造化思考
・イシュー特定(問題設定)
治療方針 → 意思決定
診断のあとに必要なのが、治療方針を決めることです。
マネジメントでは意思決定にあたります。
優先順位、方向性、役割分担、リソース配分などを決めます。
学ぶことの例:
・意思決定
・優先順位付け
・判断力
・リスク管理
治療 → 問題解決
方針を決めたら、次は問題解決です。
業務改善、プロセス改善、役割再設計など、問題に合わせた対応を行います。
学ぶことの例:
・ロジカルシンキング
・問題解決
・PDCA
薬 → 実行手段(マネジメントツール)
治療には手段が必要です。
組織で言えば、マネジメントツールです。
・1on1
・ミーティング
・目標管理
・役割整理
・評価制度
・業務改善
重要なのは、ツールには正しい使い方がある、ということです。
目的、使うタイミング、適切な方法がずれると、効きにくくなります。
学ぶことの例:
・マネジメント手法
・ファシリテーション
・1on1
・目標管理
フォロー → 実行管理
対策は、実行して終わりではありません。
経過を見て調整する必要があります。
マネジメントでは、進捗確認・フィードバック・改善です。
PDCAに近い役割になります。
学ぶことの例:
・進捗管理
・フィードバック
・タスク管理
・PDCA
予防 → 人材育成 / チーム形成
最後は予防です。
健康管理・生活習慣改善・予防接種などで病気を防ぎます。
問題が起きにくい状態を作ることが、長期的には一番効きます。
組織で言えば、人材育成、チームビルディング、心理的安全性、仕組みづくりなどです。
学ぶことの例:
・コーチング
・フィードバック
・チームビルディング
・心理的安全性
まとめ
医療モデルで考えると、マネージャーの役割は次の8つに整理できます。
・状態把握
・サイン(兆候)
・問題診断
・意思決定
・問題解決
・実行手段
・実行管理
・人材育成/チーム形成
マネジメントの仕事は、チームの状態を観察し、問題を診断し、解決策を決め、実行し、改善し、問題が起きにくいチームを作ること。
こう整理してみると、何を学ぶべきかも決めやすくなると思います。


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