なぜ人は「お局化」するのか|自己重要感の不足で起きる行動パターン

マネジメント

他人のミスに厳しい。正しさで押し切る。「私はこんなにやっているのに」と不満が強い。

職場で、このような人に出会うことがあります。
いわゆる「お局」と言われるような人です。

私は以前、そのような人は性格の問題だと思っていました。
でもカーネギーの『人を動かす』を読んでいて、「自己重要感」という視点がしっくりきました。

自己重要感とは、ざっくり言えば
「自分は必要とされている」「自分には価値がある」と感じたい欲求です。
この欲求が満たされない状態が続くと、攻撃や正しさ、被害者意識のような形で表に出ることがあります。

この記事では、
なぜお局化のような現象が起きるのかを、自己重要感の観点で整理します。
そのうえで、自己重要感を健全に満たす関わり方についてもまとめます。

自己重要感は、承認欲求とつながっている

自己重要感は、「自分は重要な存在だ」「価値がある」「必要とされている」と感じたい欲求です。

そしてこれは、マズローの欲求段階説で言う「承認(尊重)の欲求」とつながっています。

マズローの欲求段階説では、人は生理的欲求や安全の欲求が満たされたあとに、
「所属と愛の欲求」や「承認(尊重)の欲求」を求めるとされています。

承認の欲求は、
「認められたい」「価値があると思いたい」「尊重されたい」という欲求です。

自己重要感は、この承認の欲求とかなり近い。
「自分は重要な存在だ」「自分には価値がある」と感じたいのは、自然な欲求だということです。

そしてこの欲求は、満たされると心が安定します。
逆に満たされない状態が続くと、人は別の場所でそれを満たそうとすることがある。

自己重要感がどれだけ強い欲求かは、人がそれを満たすために何を差し出すかを見ると分かりやすいと思います。

 自己重要感はどれだけ強い欲求か

自己重要感が強い欲求だと感じるのは、それを満たすために、人が生活の優先順位すら変えてしまうことがあるからです。

その例として思い浮かんだのが、宗教でした。

宗教の中には、
「あなたは否定されない」
「あなたは許される」
「あなたは選ばれている」

といった形で、自己重要感が満たされやすい構造を持つものがあります。

さらに、役割が与えられることもあります。
活動を任される。仲間に必要とされる。感謝される。

この「承認」と「役割」が重なると、自己重要感は一気に満たされやすくなります。

その結果として、多額の寄付をしたり、生活が苦しくなるような選択をしてしまう人が出ることもある。

ここで言いたいのは、自己重要感がそれだけ強い欲求だということです。

そしてこの欲求は、職場でも同じように顔を出します。

自己重要感は職場の空気にも出る

形は違っても、職場でも同じように
自己重要感の満たされ方次第で人の行動は変わると思います。

自己重要感が満たされない状態が続くと、動き方が変わります。
それが不健全な形で出ると、いわゆる「お局」と言われるような振る舞いになっていくことがあります。

たとえば、

  • 他人の失敗を強く責めて、自分を優位に立たせようとする
  • 「私はこんなにやっているのに」と、承認を求める形が強くなる
  • 「こうするのが普通でしょ」「常識がない」と、正しさで相手を押し切ろうとする
  • 「なんで私ばっかり」と被害者側に立ち、周りへの不満が増える

本人は「正しいことを言っている」「現場を守っている」と思っていることも多い。
でも背景には、「自分は大事にされていない」「自分は必要とされていない」という不安が隠れているのかもしれません。

逆に、自己重要感が満たされている人は、同じ場面でも動き方が違います。
いわゆる「いい先輩」は、たとえばこういう行動を取ります。

  • ミスを責めるより、次に再発しないための確認ポイントを一緒に整理する
  • 自分の頑張りを主張するより、チームが回る形を選ぶ
  • 正しさで押すより、相手の状況を聞いて言葉を選ぶ
  • 不満を溜めるより、困っていることを早めに共有して相談する

職場の空気や人間関係は、性格の問題に見えて、
自己重要感の満たされ方が偏っているだけ、ということもあります。

だからマネジメントで見たほうがいいのは、
「なぜ動かないのか」より先に、
自己重要感がどんな形で満たされている(または満たされていない)のか、という視点だと思います。

お局化を防ぐために、管理職が意識したいこと

お局化のような行動は、自己重要感が満たされにくい状態が続くと出やすくなります。

だから管理職として意識したいのは、相手を矯正する前に、自己重要感が健全に満たされる関わりを増やすことです。
ポイントは2つあります。

1. 「できていること」を役に立つ形で言語化する

ただ褒めるのではなく、意味づけをして伝えます。

  • 「それ助かっています」
  • 「それがあるから現場が回っています」
  • 「その視点はチームに必要です」

自己重要感は、こういう言葉で安定しやすくなります。

2. 承認とセットで「役割」を渡す

言葉だけではなく、実際に任せる。
「あなたが必要だ」を、役割で形にする。

  • 「この部分はあなたに任せたい」
  • 「この視点で見て、気づいたら共有してほしい」

承認+役割が揃うと、「ここにいていい」という実感が作られやすくなります。

ただし、攻撃や迷惑行為は別問題として線を引く

自己重要感の話は「理解」のための視点であって、何でも許す話ではありません。

不機嫌で支配する、陰口で空気を壊す、誰かを傷つける。
これはチームの安全を壊すので、管理職として止める必要があります。

その上で、関わり方を変える。
自己重要感が満たされにくい構造を放置せず、健全に満たされる方向に設計し直す。
お局化を「性格の問題」で片づけない方が、現場を整えやすくなると思います。

まとめ

自己重要感は、「自分は意味のある存在だ」「自分は必要とされている」と感じたい欲求です。
そしてこの欲求は、思っている以上に強い。

満たし方が偏ると、職場では不健全な形で表に出ます。
他人を下げる、承認を求め続ける、正しさで押し切る、被害者側に立つ。
いわゆる「お局っぽさ」も、個人の性格というより、自己重要感の満たされ方の問題として説明できる部分があるのだと思います。

逆に、健全に満たされている人は、周りを支える方向に力を使える。
マネージャーとして意識したいのは、自己重要感が健全に満たされる関わりを増やすことです。

褒めるだけで終わらせず、役割で「必要とされている実感」をつくる。

自己重要感を設計するとは、洗脳ではなく、健全な形で人が安心して動ける土台を整えることだと思います。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました